『ダブルクロス The 3rd Edition』ルールブックの記述は断片的であり、基本的なルールの理解が難しく感じられます。また、効果が矛盾する場合、どの順序で優先して処理を行うのかが明確ではありません。ここでは、ルールに基づく処理を明確化し、裁定が困難な状況が発生しないようにする目的で以下のルールを制定します。
以下のルールは大まかにいうと、エフェクトコンボの成立判定ののちに、エフェクトの効果が実行され、その後実際の攻撃が行われるという説に基づいた処理をルールとして表現しています。特に、このルールは、他のエフェクトの技能を変更するエフェクトや、攻撃に使用する武器を変更するエフェクトのような混乱を生むエフェクトが仮に導入された場合でも、ゲームの進行を継続できるように作られています。とはいえ、実際には<タイミング: メジャーアクション>のエフェクトの効果は、本ルールで攻撃アクションと呼んでいる「組み合わせた攻撃」のパラメーターを変更する効果がほとんどであるため、エフェクトの処理順による混乱はもともと少ないかもしれません。
以下に示すルール通りの手続きでゲームを進行するとゲームのテンポが悪くなるため、実際のゲーム進行を以下のルールに基づいた手続きに頭の中で「翻訳」し、裁定に疑問が生じた場合にはこのルールに基づく手続きに即して判断するという形でのルール運用を想定しています。
(ゴールデンルールを除く)公式ルールの文章や、公式 Q&A での裁定例と処理が矛盾する場合でも、以下のルールが優先されます。(以下のルールの適用に問題が生じ、ゴールデンルールにより修正を図る場合には、公式Q&Aでの裁定例が参考にされることはありえます。)
ゲームのルールに基づく処理は、ゲーム内の現実において可能な行動を反映しているものとする。例えば、乗用車の車内で普通の剣を振り回したら、車外にいる敵にダメージを与えられるという解釈はできない。これは現実世界の法則をゲーム内世界に持ち込んでよいという意味ではなく、ゲーム内世界の抽象化に失敗しているルールの瑕疵により没入感や想像可能性が損なわれるのであれば、ルールを修正しようという原則である。
効果発動の無限ループによりゲームの進行が不可能になったり、ルールが矛盾して正しい処理が決定不可能になることはない。
エフェクトの効果やルールのテキストは、記述があることによりある条件で実際にゲームプレイに差異をもたらすものであるか、ルール適用の例示を行うものである。
裁定ルールに設ける例外は必要最小限とし、どのような場面でも適用可能な一般原則による解決を優先する。
メジャーアクションでは、攻撃プロシージャの実行、とどめを刺す、攻撃を伴わないエフェクトのみの使用、全力移動、エンゲージからの離脱、隠密状態への移行、所持品もしくは装備品の使用、バッドステータスからの回復、メジャーアクションの放棄、その他シナリオやGMが指定または許容する行動を行うことができる。
攻撃宣言がなされてから、攻撃終了までの一連の流れを攻撃プロシージャと呼ぶ。攻撃プロシージャは、次の順で行う。
攻撃宣言ステップでは、プレイヤーは以下の宣言を行う。
プレイヤーは、「通常白兵攻撃」「通常射撃攻撃」「搭乗突撃攻撃」からどれか一つから選ぶか、どれも選ばないかを選択する。
通常攻撃が選択された場合、以下のエフェクトが使用されたものとみなす。
タイミング: | メジャーアクション |
技能: | 武器 |
侵蝕: | ― |
対象: | ― |
射程: | 武器 |
難易度: | 対決 |
制限: | ― |
<種別: 白兵>の武器を使用する場合のみ発動できる。<攻撃力+0>の白兵攻撃を行なう。このエフェクトの技能は、使用する武器に設定された技能となる。(通常は、技能<白兵>が設定されている。) このエフェクトは常に、使用エフェクトの組み合わせ宣言の最後に宣言されたものとして扱う。また、「ほかのエフェクトと組み合わせることができない」という条件を持つエフェクトとも組み合わせることができる。
タイミング: | メジャーアクション |
技能: | 武器 |
侵蝕: | ― |
対象: | ― |
射程: | 武器 |
難易度: | 対決 |
制限: | ― |
<種別: 射撃>の武器を使用する場合のみ発動できる。<攻撃力+0>の射撃攻撃を行なう。このエフェクトの技能は、使用する武器に設定された技能となる。(通常は、技能<射撃>が設定されている。) このエフェクトは常に、使用エフェクトの組み合わせ宣言の最後に宣言されたものとして扱う。また、「ほかのエフェクトと組み合わせることができない」という条件を持つエフェクトとも組み合わせることができる。
タイミング: | メジャーアクション |
技能: | ヴィークル |
侵蝕: | ― |
対象: | ― |
射程: | 至近 |
難易度: | 対決 |
制限: | ― |
搭乗状態でのみ発動できる。搭乗しているヴィークルを装備する。装備に成功した場合、使用する武器を搭乗しているヴィークルに変更する。使用する武器の変更に成功した場合、<攻撃力+0>の白兵攻撃を行なう。 攻撃後、ヴィークルの装備を解除する。 このエフェクトの技能は、使用するヴィークルに設定された運転技能となる。(通常は<運転: 二輪>などが設定されている。) このエフェクトは常に、使用エフェクトの組み合わせ宣言の最後に宣言されたものとして扱う。また、「ほかのエフェクトと組み合わせることができない」という条件を持つエフェクトとも組み合わせることができる。
キャラクターが装備している武器の中から、攻撃に使用する武器を選択する。複数の武器を装備している場合でも、使用する武器は一つのみを選択できる。使用するエフェクトの技能と武器の技能が異なる場合、武器の使用はできず、武器によるダメージ増加の効果は受けられない。武器の使用を選択しなかった場合や、武器の使用ができなかった場合、通常白兵攻撃や通常射撃攻撃は発動できないが、組み合わせ集約ステップで述べるように、<攻撃力>が設定されている「攻撃を行なう」効果が組み合わされ、ダメージを伴う攻撃アクションであると決定された場合は、敵にダメージを与えることができる。
使用するエフェクトの宣言を行う。エフェクトの技能として能力値が指定されている場合や、複数の技能が指定されている場合など、エフェクトの技能を選択することができる場合、この時に技能を選択する。複数のエフェクトの使用を宣言する場合、宣言する順序は攻撃を行うキャラクターのプレイヤーが自由に決定する。1回の攻撃宣言ステップの中で、同一のエフェクトを二回以上宣言することはできない。
攻撃の対象となるキャラクターを宣言する。攻撃の対象として味方や自分自身を選択することもできるが、シナリオの目的を達成する上で意味のある場合や、シナリオ進行を大きく妨害しない範囲でロールプレイ上必要不可欠である場合に限る。
攻撃シミュレーションステップでは、3.~11.で起こりうる処理をGMがシミュレーションし、組み合わせによりエフェクトが不発(後述する)になったり、(PCが知っている範囲の情報で)ダメージが与えられないなど、ルールに対する誤解や無理解のために、プレイヤーが不利益を被る可能性がないかどうかチェックする。このような問題が発生する可能性がある場合、その問題をプレイヤーに伝える。このとき、プレイヤーは、攻撃宣言ステップをやり直すことができる。
GMの過失により、攻撃シミュレーションステップでのチェックが不徹底であったり説明が不十分でプレイヤーが不利益を被った場合でも、プレイヤーはGMに攻撃プロシージャのやりなおしを求めることはできない。ただし、GM自身がゲームの進行上問題があると判断した場合には、プレイヤーの許可を得て、攻撃プロシージャをやり直すことができる。
エフェクトが宣言された順序で、エフェクトの効果を発動する。
エフェクトを発動したとき、エフェクトの発動条件を満たさない場合は、エフェクトは不発となり、効果を発動しない。不発となったエフェクトは最初から宣言されていなかったものと見なされ、「組み合わせたエフェクト」から除外される。また、エフェクトが不発になったことで、その後に発動する他のエフェクトが条件を満たさなくなった場合(例えば、技能が<シンドローム>に設定されているエフェクトを最初に発動することになった場合など)は、そのエフェクトも不発となる。不発となったエフェクトは、侵蝕率を増加させることはない。
すでに効果を発動したエフェクトの発動条件が、そのエフェクト自身の効果や、後続する別のエフェクトの効果により満たされなくなった場合でも、エフェクトの効果は有効であり、さかのぼって不発とされることはない。
エフェクトの技能が先行するエフェクトの技能と異なる場合、技能: <シンドローム>以外の場合は不発となる。また、発動しようとするエフェクトに技能: <シンドローム>が指定されている場合、このエフェクト発動ステップにおいて同一シンドロームのエフェクトを発動した後(直後でなくともよい)でなければ、そのエフェクトは不発となる。
「~時に」「~直後に」「~した瞬間」などと記載された効果や、組み合わせた攻撃の範囲、判定、ダメージなどを変更する効果は、効果が即座に発生せず、積まれた状態になる。
発動するエフェクトの効果の内容に、「白兵攻撃を行なう」「射撃攻撃を行なう」という効果が含まれている場合、この効果は即時には発動せず、エフェクト発動ステップでは、発動されたエフェクトによる攻撃の種別が白兵攻撃か射撃攻撃かどちらかに統一されているかどうかのチェックのみ行う。(このチェックに失敗した場合、エフェクトの発動条件をみたさないため、エフェクトは不発となる。)これらの「攻撃を行う」効果は、組み合わせ集約ステップ時にまとめられて一つの効果となり、アクションステップ時に発動する。
発動するエフェクトの効果の内容が、武器(典型的には素手)のパラメーターを変更するという内容の場合、エフェクト発動ステップ内で先行する他のエフェクトの効果処理によりその武器のパラメーターがすでに変更されている場合は、エフェクトにより変更するとされているパラメーターのうち、プレイヤーが選んだ一部のみを適用することができる。
エフェクト発動ステップにおいて、それぞれのエフェクトの効果を発動する直前もしくは発動した直後のタイミングで、「どのタイミングでも実行できる」オートアクションを発動することができる。
このステップでは、エフェクト発動ステップにおいてチェックされた、「白兵攻撃を行なう」「射撃攻撃を行なう」という効果を集約し、その後の処理の方法を決定する。
「攻撃を行なう」という効果が一度もチェックされなかった場合、攻撃プロシージャにおける以降のステップを処理せずに、攻撃クリンナップステップを行い攻撃プロシージャを終了する。
<攻撃力>が設定されていない「攻撃を行なう」効果のみがチェックされた場合、この攻撃は「ダメージを伴わない攻撃アクション」であると決定される。
<攻撃力>が設定されている「攻撃を行なう」効果が一つでもチェックされた場合、<攻撃力>が設定されている「攻撃を行う」効果の攻撃力を合計する。この攻撃は、「<攻撃力: [合計値]>のダメージを伴う攻撃アクション」であると決定される。
つぎに、発動したエフェクトに設定されている攻撃範囲、射程、難易度を組み合わせて、攻撃アクションの範囲、射程、難易度を決定する。範囲・射程・難易度に「―」(なし)に設定されていないエフェクトの中から、攻撃範囲は最少、射程は最短、難易度は最大のものが選ばれる。このとき、範囲・射程・難易度に「―」(なし)が設定されているエフェクトのみを組み合わせた場合は、それぞれ、範囲: 単体・射程: 至近(白兵攻撃の場合)/10m(射撃攻撃の場合)、難易度: 対決の攻撃アクションと設定される。その後、エフェクトを組み合わせた攻撃(行動)の範囲・射程・難易度を変更する効果が積まれている場合、その効果を発動し適用する。
このステップでは、エフェクトに設定された技能により、攻撃アクションの判定を行い、使用武器やエフェクト等に設定された命中補正値をくわえて攻撃側達成値を決定する。技能が「なし」であるのにもかかわらず攻撃側達成値の決定が必要な場合は、GMが適当な技能を決定する。
集約された攻撃アクションの難易度が「自動成功」である場合、リアクション宣言ステップを行わず、命中後効果ステップを行う。
このステップでは、攻撃の対象ごとにリアクションを決定する。
リアクション時に、攻撃の対象キャラクターのプレイヤーは以下のことができる。
リアクションステップにおけるエフェクト効果の発動や発動条件のチェックは、攻撃プロシージャにおける処理と同様に行う。 攻撃対象キャラクターが「リアクションを行えない」状態である場合、そのキャラクターについてはリアクション宣言ステップでの処理は行わず、命中後効果ステップ以後の処理を行う。
リアクション宣言、リアクション、命中後効果、ダメージの処理順は、すべてイニシアチブプロセスでの攻撃順に準ずるが、リアクションにおける行動順の決定においては、「待機」を選択することはできない。
ドッジまたはガードが選択された場合、以下のエフェクトの使用が宣言されたものとみなす。
タイミング: | リアクション |
技能: | <回避> |
侵蝕: | なし |
対象: | 自身 |
射程: | なし |
難易度: | 対決 |
制限: | なし |
このリアクションを引き起こした攻撃アクションの回避に成功した時、その攻撃アクションは命中に失敗する。
このエフェクトは常に、使用エフェクトの組み合わせ宣言の最後に宣言されたものとして扱う。また、「リアクションとして実行できる」と書かれたエフェクトを除く、「ほかのエフェクトと組み合わせることができない」という条件を持つエフェクトとも組み合わせることができる。
タイミング: | リアクション |
技能: | なし |
侵蝕: | なし |
対象: | 自身 |
射程: | なし |
難易度: | 自動成功 |
制限: | なし |
このリアクションを引き起こした攻撃側のアクションによるダメージを受けるとき、ガードに使用した武器のガード値だけ、受けるダメージを減少させる。
このエフェクトは常に、使用エフェクトの組み合わせ宣言の最後に宣言されたものとして扱う。また、「リアクションとして実行できる」と書かれたエフェクトを除く、「ほかのエフェクトと組み合わせることができない」という条件を持つエフェクトとも組み合わせることができる。
攻撃対象のキャラクターそれぞれについて、リアクション宣言ステップにおいて、難易度が「対決」となった場合(ドッジが選択された場合)、エフェクトの技能(<回避>)による判定を行い、装備中の防具等に設定されたドッジ補正を加えて、防御側達成値を決定する。
リアクションステップを行った場合、攻撃対象のキャラクターそれぞれについて攻撃側達成値と防御側達成値を比較し、防御側達成値≧攻撃側判定値である場合、防御側の回避成功時に発生する効果を実行する。防御側の(ドッジ)エフェクトにより攻撃の命中を失敗させた場合は、そのキャラクターについて、命中後効果ステップとダメージロールステップをスキップする。
「攻撃に命中したとき」に発動する積まれた効果を発動する。積まれた順番(エフェクトの宣言順)に発動する。
組み合わせ集約ステップで、「<攻撃力: [合計値]>のダメージを伴う攻撃アクション」であると決定された場合、[[1 + 攻撃側達成値/10]D10のダメージ + 使用する武器の攻撃力+ 攻撃アクションの攻撃力 - 攻撃対象の装甲値] のダメージが攻撃対象にそれぞれ与えられる。
このとき、「ダメージを与える時」に発動する効果が積まれている場合、効果が積まれた順番(エフェクトの宣言順)にその効果が発動され、次に、ダメージを与える時に発動できるオートアクションの効果が(発動が宣言されたのなら)発動する。その後、ダメージを受けるときの効果が積まれた順に発動され、つぎにダメージを受けるときに発動するオートアクションの効果が(発動が宣言されたのなら)発動する。
その後、すべての効果と補正が計算されたダメージが攻撃対象のHPから引かれる。
すべての効果と補正が計算されたダメージが1以上の場合、「ダメージを与えた時」の効果が積まれた順に発動され、次にダメージを与えた時に発動できるオートアクションの効果が(発動が宣言されたのなら)発動する。また、ダメージを受けた時の効果が積まれた順に発動され、次にダメージを受けた時に発動できるオートアクションの効果が(発動が宣言されたのなら)発動する。最後に、「ダメージを受けた場合」という理由により、ダメージを受けたキャラクターの隠密状態の解除される。
組み合わせ集約ステップで、「ダメージを伴わない攻撃アクション」であると決定された場合、このステップを行わない。
ダメージを増減させる効果は、「ダメージを与える時」または「ダメージを受ける時」に発動する効果であるとみなす。
攻撃後効果ステップでは、「攻撃後」「攻撃した直後」に発動する積まれた効果を処理する。この効果は、積まれた順番(エフェクトの宣言順)に発動する。
攻撃プロシージャ中に発動されたエフェクトによる侵蝕値を増加させる。
メインプロセスの終了時に発動するエフェクトの効果を積まれた順に処理する。
HP0のキャラクターがいる場合、戦闘不能状態にする。
その後、「HPが(一定値より)減少したとき」「戦闘不能になったとき」に発動できるオートアクションがある場合、その条件に該当し、アクションの実行が宣言されたなら、効果処理を行う。